オリンピックへの道_女子編

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オリンピックへの道_女子編

長野オリンピック以来の悲願達成となったソチオリンピック… ソチオリンピック以降は連続出場を更新中

オリンピックにおける女子アイスホッケー競技は1998年の長野オリンピックから正式種目として行われるようになりました。日本女子代表は、長野オリンピックには開催国として出場しましたが、2002年のソルトレークシティオリンピック、2006年のトリノオリンピック、2010年のバンクーバーオリンピックの3大会はいずれも最終予選で敗れ、出場はままなりませんでした。しかし、2014年のソチオリンピックと2018年の平昌オリンピックは最終予選を突破してオリンピック出場権を獲得しました。さらに2022年の北京オリンピックはIIHF世界ランキング枠(日本は6位)の資格で、最終予選を戦うことなく出場を果たしました。
2024-2025シーズンでは、2026年2月に開催されるミラノ・コルティナダンペッツォオリンピック(イタリア)の出場権をかけた最終予選会が2025年2月6日から9日まで苫小牧で行われます。日本女子代表には4大会連続オリンピック出場を勝ち取ってもらいたいものです。
ここでは「オリンピックの道_女子編」と題しまして、北京オリンピックまでの日本女子代表のオリンピック出場権をかけた戦いを振り返ります。

さらに、オリンピックと並ぶ最重要大会である世界選手権。女子の世界選手権の歴史は男子に比べ浅く、1990年に第1回大会が開かれました。その後、長野オリンピック前までは1992年、1994年、1997年の3回開催されました。長野オリンピック後の1999年からは原則、男子同様、毎シーズン世界女子選手権が開かれました(2002年から2018年まではオリンピックイヤーは非開催)。さらにAプール(トップディビジョン)だけではなくBプール以下の大会も開かれるようになりました。
長野オリンピック前の4大会はトップディビジョンのみが行われ、出場のための予選などが開催されました。オリンピック同様に1990年から1997年までの4回の世界女子選手権の出場権をかけた日本女子代表の戦いについても紹介します。<敬称略>

第1版:2024年12月24日・記

【1998年長野/開催国出場】
初めてオリンピックの正式種目となった女子アイスホッケー。長野オリンピックの出場枠は6カ国。出場資格は
①開催国:日本
②1997世界女子選手権の上位5カ国:カナダ(1位)、アメリカ(2位)、フィンランド(3位)、中国(4位)、スウェーデン(5位)
でした。
長野オリンピックの試合結果や日本代表選手などは、以下リンク「1998長野オリンピック」よりご確認いただけます。
【2002年ソルトレークシティ/最終予選4位:出場権逃す】
ソルトレークシティオリンピックの出場枠は長野オリンピックの6カ国から2カ国増え8カ国になりました。出場資格は、
①2000世界女子選手権Aプールの上位6カ国(開催国:アメリカを含む):カナダ(1位)、アメリカ(2位)、フィンランド(3位)、スウェーデン(4位)、ロシア(5位)、中国(6位)
②最終予選の上位2カ国
でした。
1999年の世界女子選手権Bプールで優勝してAプールへ昇格した日本。2000年4月3日から9日までカナダ・ミシソーガなどで行われた2000世界女子選手権Aプールに参戦しました。8カ国中6位以内に入れば即、ソルトレークシティオリンピック出場となりましたが、1次リーグは3戦全敗。オリンピックの切符をかけたロシア戦に敗れ、オリンピックの出場権獲得は最終予選へ持ち越されました。なお、この大会ではドイツとの7-8位決定戦にも敗れ8位となりBプール降格となりました。

日本の試合結果は次の通り。
日本0-9カナダ<1P(0-3)、2P(0-2)、3P(0-4)>
日本0-10スウェーデン<1P(0-2)、2P(0-3)、3P(0-5)>
日本0-3中国<1P(0-2)、2P(0-1)、3P(0-0)>
日本4-8ロシア<1P(3-3)、2P(1-1)、3P(0-4)>
日本2-3ドイツ<1P(0-0)、2P(1-2)、3P(1-0)、OT(0-0)、PS(0-1)>

八反田孝行監督の参加報告(日本アイスホッケー年鑑 平成11年-12年 第19号より・要約)。
「1次リーグの中国戦は自分が経験している中国戦の中で、一番内容のある試合と思えました。相手GKの好守と決定力不足で得点できませんでしたが、終わってみれば勝つことも可能な試合でした。オリンピック出場権がかかったロシア戦ですが、勝ちを意識した第3ピリオドは自力の差が出て突き放されました。それでも2ピリまでの戦いは今後につながる手応えを感じました。しかし、3ピリに力が尽きてしまう体力・集中力の課題がこの試合でも解消できず残念でした」。

ソルトレークシティオリンピック行きの2枚の切符をかけた最終予選は2001年2月8日から11日までスイス・エンゲルベルクで、ドイツ(2000世界女子選手権Aプール7位)、日本(同8位)、カザフスタン(2000世界女子選手権Bプール1位)、スイス(同2位)が参加して行われました。
初戦のドイツ戦、日本は試合終了32秒前に同点に追い付き(3-3)、2戦目以降にオリンピック出場権獲得の望みをつなげました。続く勝たなければならないカザフスタン戦に敗れ(2-5)、この時点で自力出場権が消滅しました。ところが、スイスとの最終戦を前にドイツがカザフスタンに敗れたため、4点差以上でスイスに勝利すれば、オリンピック行きの切符を手にすることができる状況になりました。しかし、スイス戦は2-2の引き分けに終わり、ソルトレークシティオリンピック出場は夢と消えました。

八反田孝行監督の参加報告(日本アイスホッケー年鑑 平成12年-13年 第20号より・要約)。
「大会前に100%の力を出し切れば全勝できると公言していました。正直、3試合全てに100%の力らを出し切ることは難しいと思っていましたが、悪くても70%以上の力は確実に出せる自信を持って大会に臨みました。3戦全勝もあれば全敗もあるうると予想していた通り厳しい戦いでした。長野オリンピックへ向けての数年間、そして、長野後の2年間で選手の力は確実にアップしました。しかし、勝つと負けるではこれほどまで大きな違いとなる状況で戦ったことが今までなく、プレッシャーを乗り越える術を身に付けることができなかったことが勝負の大きなポイントになったと痛感しました。オリンピック出場のため選手たちはよく努力してトレーニングに励み、チームとして一つになろうと一所懸命頑張ってきました。しかし、頑張れば全ての目標が達成されるわけではなく、世界に立ち向かい勝ち進むことは並大抵なことではないことを選手共々思い知らされた大会でした」。

日本の試合結果と大会成績、日本選手団は次の通りです。
日本3-3ドイツ<1P(1-0)、2P(0-2)、3P(2-1)>
日本2-5カザフスタン<1P(1-1)、2P(0-2)、3P(1-2)>
日本2-2スイス<1P(0-0)2P(0-0)3P(2-2)>
カザフスタン 2勝0分1敗 勝点4
ドイツ    1勝1分1敗 勝点3
スイス    1勝1分1敗 勝点3
日本     0勝2分1敗 勝点2
(ドイツとスイスは直接対決の結果によりにドイツが上位)

団長:清野勝、監督:八反田孝行、コーチ:高橋正行、ドクター:石田浩之、トレーナー:谷口浩司、GK:藤本知子(岩倉ペリグリン)、林里沙(六花亭ベアーズ)、DF:吉見菜保、近藤陽子(以上コクドレディース)、和田悦子、小山内裕子、川内暢子(以上六花亭ベアーズ)、野中絵美(岩倉ペリグリン)、畠中亜希子(アイスベアーズ)、FW:佐藤あゆみ、二本柳粧子(以上コクドレディース)、十川由希、土田亜希、本間理恵、仲晶子、玉田陽子、佐渡彩加(以上六花亭ベアーズ)、岩瀬明子、久保英恵(以上岩倉ペリグリン)、佐藤雅子(ミストラル)

2000世界女子選手権Aプールの試合結果や日本代表選手などは、以下リンク「2000世界女子選手権Aプール」よりご確認いただけます。

【2006年トリノ/最終予選(グループA)2位:出場権逃す】
トリノオリンピックの出場枠は8カ国。世界女子選手権の結果ではなく、「IIHF世界ランキング」によって決められるようになりました。出場資格は、
①開催国:イタリア
②2004IIHF世界ランキング上位4カ国:カナダ(1位)、アメリカ(2位)、フィンランド(3位)、スウェーデン(4位)
③最終予選(3グループ)の各グループ1位の3カ国
でした。
最終予選は3グループに分かれ、グループAが3カ国、グループBとCはそれぞれ4カ国で構成され、それぞれ1つの枠(出場権)を争いました。

日本(2004IIHF世界ランキング10位)は2004年11月11日から13日までロシア・ポドリスクで行われた最終予選グループAで、ロシア(同5位)、チェコ(同11位)と戦いました。
初戦のチェコ戦で4-1と快勝し、ロシアとの決戦を迎えました。ロシアと引き分けても総得点で上回りオリンピック行きの切符を手にすることができた日本でしたが、ロシアに先手を奪われ0-3と劣勢に立たされました。2ピリ終盤から反撃し1点差に詰め寄ったもの、パワープレーのチャンスを生かし切れず2-3と惜敗。トリノオリンピック出場権を獲得することはできませんでした。

信田憲司監督の振り返り(トリノ五輪女子最終予選レポート9・10より)
チェコ戦終了後、ロシア戦に向け「守って、スペシャルプレーで得点を奪うことがカギになります。自分たちのアイスホッケーをやるだけ」と語った信田監督。ロシア戦後「どっちが勝つか分からなかった。気持ち的も、技術的も負けていません。スコアリングチャンスもありました。ただ、結果として負けたので、ロシアの実力が上でした」と振り返りました。
佐藤雅子キャプテンのコメント(トリノ五輪女子最終予選レポート10より)
「ピンチをしのいで、チャンスがありました。点を取っていれば……。勝たないと意味がありません。“良いゲーム”をやってもオリンピックには行けない」と涙ながらに話しました。
日本の試合結果と大会成績、日本選手団は次の通りです。
日本4-1チェコ<1P(0-1)、2P(2-0)、3P(2-0)>
日本2-3ロシア<1P(0-2)、2P(1-1)、3P(1-0)>
ロシア 2勝0分0敗 勝点4
日本  1勝0分1敗 勝点2
チェコ 0勝0分2敗 勝点0

団長:坂井寿如、監督:信田憲司、コーチ:マーク・マホン、ドクター:小磯宗弘、トレーナー:松田直樹、用具マネジャー:加賀昌一、GK:小田由香(トヨタシグナス)、藤本知子(岩倉ペリグリン)、DF:山根朋恵、熊野華奈(Daishin)、近藤陽子(コクドレディース)、野中絵美、和田悦子(以上六花亭ベアーズ)坂上智子(岩倉ペリグリン)、FW:久保英恵、高嶌遙、山中千亜貴(以上岩倉ペリグリン)、畠中亜希子(梅田レディース)、二本柳粧子、佐藤友香、川島八重(以上コクドレディース)、佐藤雅子、土田亜希、十川由希、玉田陽子、井部倫子(以上六花亭ベアーズ)
集合写真
最終予選に臨んだ女子日本代表メンバー
試合中の様子
ロシア戦の様子
試合後の整列の様子
1点及ばず出場権獲得ならず
【2010年バンクーバー/最終予選(グループD)2位:出場権逃す】
バンクーバーオリンピックの出場枠は8カ国。出場資格は、
①2008IIHF世界ランキング上位6カ国:カナダ(1位)、アメリカ(2位)、フィンランド(3位)、スウェーデン(4位)、スイス(5位)、ロシア(6位)
②最終予選(2グループ)の各グループ1位の2カ国
でした。
最終予選は8カ国を2つのグループに分けて行われました。その内訳は世界ランキング7位から12位までの6カ国は自動的に出場が決まり、残りの2枠を同13位以下の国が1次予選を行い最終予選出場国が決まりました。日本は世界ランキング9位のため自動的に最終予選へ進出。2008年11月6日から9日まで中国・上海で行われた最終予選グループDに入り、中国(8位)、チェコ(12位)、ノルウェー(14位)と対戦しました。カッコ内は世界ランキング(当時)の順位。
初戦のチェコ、第2戦のノルウェーともに過去に日本が負けたことがないものの、侮れない相手でした。チェコ戦では勝利したものの、試合を優位に進めスコアリングチャンスは作りましたが、決定力がないためにスコア的にはタイトゲームになってしまいました。ノルウェー戦は先制点を奪われ追う展開になったものの、選手に焦りはなく、追い付いてからはゴールを脅かされることもなく、自分たちのペースで戦い逆転勝ちしました。
全勝同士で迎えた中国戦。第2ピリオドに中国に先取点を奪われたことが最大のキーポイントになってしまいました。中国は守り重視の戦術に切り替え、最後までシンプルプレーを徹底していました。日本は4回あったパワープレーのチャンスを得点に結びつけることができず0-2で敗れ、バンクーバーオリンピック出場は夢と消えました。

飯塚祐司監督のコメント
「ロースコアの戦いで勝利を計算していたので、守りの面では計算通りでした。しかし、チャンスらしいチャンスをつくれず終わりました」。
日本の試合結果と大会成績、日本選手団は次の通りです。
日本3-2チェコ<1P(2-1)、2P(1-1)、3P(0-0)>
日本3-1ノルウェー<1P(1-1)、2P(1-0)、3P(1-0)>
日本0-2中国<1P(0-0)、2P(0-1)、3P(0-1)>
中国    3勝0敗    勝点9
日本    2勝1敗    勝点6
ノルウェー 1OT勝2敗   勝点2
チェコ   0勝1OT敗2敗 勝点1

団長:山田幸司、監督:飯塚祐司、コーチ:若林クリス、アンドリュー・アレン、用具マネジャー:田名部廣幸、トレーナー:松田直樹、野坂龍太、ドクター:服部幹彦、マネジャー:細谷妙子、GK:藤本那菜(札幌バッカーズ)、中村綾子(SEIBUプリンセスラビッツ)、中奥梓(加森観光ベアーズ)、DF:一條綾乃、近藤陽子(以上SEIBUプリンセスラビッツ)、熊野華奈、山根朋恵(以上Daishin)、野中絵美、和田悦子(以上加森観光ベアーズ)、坂上智子(岩倉ペリグリン)、FW:足立友里恵、荒牧聖未、川島八重、二本柳粧子、高嶌遙(以上SEIBUプリンセスラビッツ)、藤井亜希、大谷陽子、高橋摩衣(以上加森観光ベアーズ)、平野由佳(札幌バッカーズ)、大澤ちほ、山中千亜貴(以上岩倉ペリグリン)
得点を喜ぶ様子
ノルウェー戦 (C)JIHF-PHOTO, Uchigasaki
得点を喜ぶ様子
チェコ戦で得点を喜ぶ山中キャプテン (C)JIHF-PHOTO, Uchigasaki
試合後の整列の様子
中国に敗れうな垂れる日本選手たち (C)JIHF-PHOTO, Uchigasaki
ソチオリンピックで悲願の出場権を獲得。その後も連続出場を果たす
【2014年ソチ/最終予選(グループC)1位:オリンピック出場】
ソチオリンピックの出場枠は8カ国。出場資格は、
①開催国:ロシア(2012IIHF世界ランキング6位)
②2012IIHF世界ランキング上位5カ国:カナダ(1位)、アメリカ(2位)、フィンランド(3位)、スウェーデン(4位)、スイス(5位)
③最終予選(2グループ)の各グループ1位の2カ国
でした。
最終予選は2つのグループで行われ、世界ランキング7位から12位までの6カ国は自動的に出場でき、残りの2枠は2回の予選を経て最終予選出場国が決定しました。

世界ランキング11位の日本は自動的に最終予選進出が決定。2013年2月7日から10日までスロバキア・ポプラトで行われた最終予選グループCでスロバキア(7位)、ノルウェー(10位)、デンマーク(19位)と戦いました。カッコ内は世界ランキング(当時)の順位。
初戦のノルウェー戦、第2ピリオド12分過ぎまで0-3の劣勢に立たされていました。しかし、青木香奈枝(三星ダイトーペリグリン)のゴールで1点を返し、さらに第3ピリオド9分過ぎから大澤ちほ(三星ダイトーペリグリン)、中村亜実(SEIBUプリンセスラビッツ)、坂上智子(三星ダイトーペリグリン)の3連続ゴールで大逆転に成功。初戦を白星スタートとしました。続くスロバキア戦はともに得点を奪えず、GWSまでもつれ、0-1で敗れたものの貴重な勝ち点1を獲得しました。勝ち点4同士で勝った方がオリンピック行きの切符を手にできるデンマークとの最終戦。日本は5-0の完勝でソチオリンピック行きの切符を手にしました。オリンピックの出場は開催国として出場した1998年長野オリンピック以来2回目。過去3回は最終予選で涙を飲んだだけに、悲願達成となりました。

飯塚祐司監督のコメント
「60分間、選手たちはしっかり戦ってくれました。点を取るためにやるべきことをやるゴールに対しての習慣付けをしてきました。良い準備ができて大会に臨めました。ソチリオリンピックではメダルを取れるようなチームをつくりたい」。

日本の試合結果と大会成績、日本選手団は次の通りです。
日本4-3ノルウェー<1P(0-1)、2P(1-2)、3P(3-0)>
日本0-1スロバキア<1P(0-0)、2P(0-0)、3P(0-0)、OT(0-0)、GWS(0-1)>
日本5-0デンマーク<1P(2-0)、2P(2-0)、3P(1-0)>
日本    2勝1GWS敗   勝点7
デンマーク 1勝1GWS勝1敗 勝点5
ノルウェー 1勝1GWS敗1敗 勝点4
スロバキア 1GWS勝2敗   勝点2

団長:若林仁、監督:飯塚祐司、コーチ:カーラ・マクラウド、藤澤悌史、トレーナー:永田美香、ドクター:服部幹彦、GK:中奥梓(トヨタシグナス)、藤本那菜(ボルテックス札幌)、DF:小池詩織、青木香奈枝(以上三星ダイトーペリグリン)、床亜矢可、山根朋恵、竹内愛奈、浮田留衣(以上Daishin)、鈴木世奈(SEIBUプリンセスラビッツ)、堀珠花(トヨタシグナス)、FW:米山知奈、大澤ちほ、藤本もえこ、平野由佳、坂上智子(以上三星ダイトーペリグリン)、足立友里恵、久保英恵、中村亜実(以上SEIBUプリンセスラビッツ)、獅子内美帆、青木亜優子(以上釧路ベアーズ)
喜ぶ選手たちの様子
スロバキア・ポプラトでソチ五輪の出場権を獲得して喜ぶ選手たち
帰国会見の集合写真
成田空港での帰国会見
記者会見の集合写真
愛称「スマイルジャパン」発表会見 (C)JIHF-PHOTO, Nagayama
【2018年平昌/最終予選(グループD)1位:オリンピック出場】
平昌オリンピックの出場枠は8カ国。出場資格は、
①開催国:韓国
②2016IIHF世界ランキング上位5カ国:アメリカ(1位)、カナダ(2位)、フィンランド(3位)、ロシア(4位)、スウェーデン(5位)
③最終予選(2グループ)の各グループ1位の2カ国
でした。
最終予選は2つのグループで行われ、世界ランキング6位から11位までの6カ国は自動的に出場でき、残りの2枠は3回の予選を経て最終予選出場国が決定しました。

世界ランキング7位の日本は、自動的に最終予選出場が決定。さらにグループDの最上位国のため開催国となりました。2017年2月9日から12日まで苫小牧で開催された最終予選グループD。日本の対戦相手は、ドイツ(8位)、オーストリア(11位)、フランス(12位)でした。カッコ内は世界ランキング(当時)の順位。
初戦のオーストリア戦、「1試合3点以上」の目標通り、久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)のハットトリックなど6ゴールを奪う猛攻で6-1と快勝のスタートを切りました。続くフランス戦、キルプレーのピンチもありましたが、フランスの攻めを凌ぎ1失点に抑え4-1と勝利し、平昌オリンピック出場権獲得へ王手をかけました。最終戦はドイツとの全勝対決となりました。「大一番でベストゲームをやってくれました」と山中武司監督が振り返ったように、攻守がかみ合い3-1と快勝。3戦全勝で平昌オリンピック出場切符を手にしました。ちなみに日本勢として平昌オリンピック出場決定の第1号でした。
山中武司監督の大会総評(平成28年度選手強化NF事業(女子五輪最終予選派遣)実施報告書より)
「今シーズン最大の目標であったオリンピック出場権を全勝で勝ち取ることができました。大会まで、ほぼ計画通りに準備を進めることができて、大きなけが人もなく、全ての面で万全の状態で大会に臨めたことが大きかったと思います。大会中は、常に目の前の試合で圧倒的な勝ち方を目指し戦ってきました。具体的な目標として全試合失点0と3点以上の得点を取ることを挙げました。全試合で失点0とはなりませんでしたが、大会を通して今シーズン取り組んできたチームディフェンスが安定していたことが勝因でした」。

日本の試合結果と大会成績、日本選手団は次の通りです。
日本6-1オーストリア<1P(1-1)、2P(2-0)、3P(3-0)>
日本4-1フランス<1P(1-0)、2P(1-1)、3P(2-0)>
日本3-1ドイツ<1P(0-0)、2P(2-1)、3P(1-0)>
日本     3勝0敗     勝点9
ドイツ    1勝1GWS勝1敗 勝点5
フランス   1勝1GWS敗1敗 勝点4
オーストリア 0勝3敗     勝点0

チームリーダー:細谷妙子、監督:山中武司、コーチ:飯塚祐司、GKコーチ:春名真仁、ドクター:服部幹彦、GK:藤本那菜(ボルテックス札幌)、近藤真衣(フルタイムシステム御影グレッズ)、小西あかね(SEIBUプリンセスラビッツ)、DF:小池詩織(道路建設ペリグリン)、床亜矢可(SEIBUプリンセスラビッツ)、鈴木世奈(トロント)、堀珠花(トヨタシグナス)、細山田茜、竹内愛奈(以上カルガリー・インフェルノ)、米山知奈、大澤ちほ(以上道路建設ペリグリン)、足立友里恵、床秦留可、久保英恵、岩原知美、中村亜実(以上SEIBUプリンセスラビッツ)藤本もえこ(トヨタシグナス)、浮田留衣、寺島奈穂(以上Daishin)、永野元佳乃(オンタリオホッケーアカデミー)、小野粧子(フルタイムシステム御影グレッズ)
得点を喜ぶ様子
ゴールを喜ぶ日本選手たち (C)JIHF-PHOTO, Nagayama
日本が守る様子
ドイツの猛攻を防ぐ日本 (C)JIHF-PHOTO, Nagayama
出場権獲得を喜ぶ選手たち
平昌五輪出場権を獲得して喜ぶ選手たち(北海道苫小牧市) (C)JIHF-PHOTO, Nagayama
【2022年北京/2020IIHF世界ランキング6位:オリンピック出場】
北京オリンピックの出場国はこれまで8カ国から2カ国増えて10カ国になりました。出場資格は、
①開催国:中国
②2020IIHF世界ランキング上位6カ国:アメリカ(1位)、カナダ(2位)、フィンランド(3位)、ロシア(4位)、スイス(5位)、日本(6位)
③最終予選(3グループ)の各グループ1位の3カ国
でした。
2002年のソルトレークシティオリンピックから2018年の平昌オリンピックまで日本は、いずれの大会もオリンピック出場権をかけて最終予選を戦ってきました。しかし、北京オリンピックでは最終予選を経ることなく、世界ランキング上位国の資格で出場を果たしました。
【2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ/最終予選(グループG)】
ミラノ・コルティナダンペッツォの出場枠は10カ国。出場資格は、
①開催国:イタリア
②2024IIHF世界ランキング上位6カ国:カナダ(1位)、アメリカ(2位)、フィンランド(3位)、チェコ(4位)、スイス(5位)、ロシア(6位)
③最終予選(3グループ)の各グループ1位の3カ国
でした。

ロシアは(男子はベラルーシも)ウクライナへの軍事行動によって2025年まで国際大会の出場を禁じられています。2026年に関しては未定であり、オリンピックへの出場の可否は決まっていません(2024年9月1日現在)。IIHFはロシアの2024世界ランキングを6位と示しており、2026年国際大会への出場が解禁となればロシアは予選免除国としてオリンピックに出場できます。
なお、ロシアのオリンピック出場が禁止となった場合、空いた1カ国の出場枠の決定方法は未定です(2024年9月1日現在)。

最終予選は3つのグループで行われ、世界ランキング7位から15位までの9カ国は自動的に出場でき、残りの3枠は2024年12月に行われる予選を経て最終予選出場国が決定します。
世界ランキング7位の日本は、自動的に最終予選出場が決定。さらにグループGの最上位国のため開催国となりました。2025年2月6日から9日まで苫小牧で開催される最終予選グループGでオリンピック出場権をかけて中国(12位)、フランス(13位)、ポーランド(20位)と対戦します。カッコ内は世界ランキング(当時)の順位。
大会ポスター
「第25回オリンピック冬季競技大会(2026/ミラノ・コルティナダンペッツォ)女子アイスホッケー最終予選グループG」
世界女子選手権(トップディビジョン)への道
【1990年世界選手権/出場】
世界のアイスホッケーの歴史の1ページを記す、初の世界女子選手権は1990年3月19日から25日までカナダ・オタワで開催されました。
参加したのは、カナダ、アメリカ、1989年の欧州女子選手権上位5カ国のフィンランド(欧州選手権1位)、スウェーデン(同2位)、西ドイツ(同3位)、ノルウェー(同4位)、スイス(同5位)、そしてアジア代表の日本の8カ国でした。
日本代表は同年2月に帯広で開催された第9回全日本女子選手権の上位4チームから20名が選考され編成されました。
1990世界女子選手権の試合結果や日本代表選手などは、以下リンク「1990世界女子選手権」よりご確認いただけます。
【1992年世界選手権/アジア予選敗退】
1992世界女子選手権は1992年4月20日から26日までフィンランド・タンペレで開催されました。参加8カ国の出場資格は、
①カナダ、アメリカ
②1991欧州女子選手権上位5カ国:フィンランド(1位)、スウェーデン(2位)、デンマーク(3位)、ノルウェー(4位)、スイス(5位)
③アジア予選の勝者:中国
でした。

アジア予選は1992年1月1日から3日まで中国・ハルビンで中国と日本が参加して2試合行われ、日本は2戦2敗に終わり、出場権を得ることはできませんでした。
板橋亨監督の参加報告(日本アイスホッケー年鑑 平成3年-4年 第11号より・要約)。
「中国はスケーティング、パス、レシーブ、シュートなど、どれを比べても技術的にも体力的にも日本より数段上に感じられました。試合内容は8割方中国が主導権を握り、ソ連式フォーメーションで日本を翻弄し、得点を重ねました。日本が攻撃に転じても単発のシュートが精一杯でした」。

日本の試合結果と大会成績、日本選手団は次の通りです。
日本0-10中国<1P(0-3)、2P(0-1)、3P(0-6)>
日本3-7中国<1P(0-5)、2P(2-1)、3P(1-1)>

団長:河渕務、副団長:土田昌治、福田典夫、監督:板橋亨、コーチ:八反田孝行、総務:金子京子、レフェリー:梅内政彦、GK:札珠恵(岩倉ペリグリン)、高橋かをり(国土計画)、DF:栗橋誘子、長谷川理佳、佐藤理絵(以上岩倉ペリグリン)、田中智恵子(釧路ベアーズ)、西田珠実、鈴木庸子(以上国土計画)、FW:須藤亜貴(釧路ベアーズ)、本田彩理、佐藤深雪、川内陽子、遠山綾子(以上国土計画)、斉藤ちひろ(帯広太陽)、荒城三晴、三浦加代子、佐藤雅子、藤原志保、柴田美幸代(以上岩倉ペリグリン)
【1994年世界選手権/アジア予選敗退】
1994世界女子選手権は1994年4月11日から17日までアメリカ・レークプラシッドで開催されました。参加8カ国の出場資格は、
①カナダ、アメリカ
②1993欧州女子選手権上位5カ国:フィンランド(1位)、スウェーデン(2位)、ノルウェー(3位)、ドイツ(4位)、スイス(5位)
③アジア予選の勝者:中国
でした。

アジア予選は1994年3月11日から13日まで帯広で行われました。当初、中国、北朝鮮、日本の3カ国が参加することになっていましたが、北朝鮮が不参加となり、前回同様、日本と中国との間で出場権をかけて試合が行われました。日本は2戦2敗に終わり出場権を獲得することはできませんでした。
板橋亨監督の参加報告(日本アイスホッケー年鑑 平成5年-6年 第13号より・要約)。
「4年後の長野オリンピックを目指すための選手選考を基本として、若手選手にディフェンスの弱点をカバーするため数人のベテラン選手を加えたチーム編成で臨みました。前回大会の中国戦よりは試合内容が違うことは選手は身をもって感じたと思います。今後、中国との差を縮めるためには基礎体力をつけることが不可欠です。特に腕力、手首を強くすることが大切です。選手たちは今大会を通じてチームプレーの大切さが分かってきたような感じがしました。強化を進める上で一歩前進できたと思います」。

日本の試合結果と大会成績、日本選手団は次の通りです。
日本2-6中国<1P(0-2)、2P(1-1)、3P(1-3)>
日本1-7中国<1P(1-4)、2P(0-0)、3P(0-3)>

監督:板橋亨、コーチ:八反田孝行、柴田芙美子、GK:札珠恵(岩倉ペリグリン)、小田由香(苫小牧西高エンジェルス)、DF:長谷川理佳、佐藤理絵、帯川牧子(以上岩倉ペリグリン)、増田泰子、吉見菜保(以上コクドレディース)、妹尾悦子(釧路ファニーダックス)、里見結子(札幌ブルドックス)、尾野聡美(トム・ボーイ)、FW:荒城三晴、藤原志保、佐藤雅子、五十嵐充子(以上岩倉ペリグリン)、遠山綾子、石黒道代、高谷由香(以上コクドレディース)、須藤亜貴(釧路六花亭ベアーズ)、斉藤ちひろ、斉藤ちさと、浅野志保(帯広太陽)、大野ゆかり(シチズンレディース)
【1997年世界女子選手権/パシフィックリム大会4位敗退】
1997世界女子選手権は1997年3月31日から4月6日までカナダ・キッチナーなどで開催されました。参加8カ国の出場資格は、
①1996パシフィックリム選手権の上位3カ国:カナダ(1位)、アメリカ(2位)、中国(3位)
②1996欧州女子選手権の上位5カ国:スウェーデン(1位)、ロシア(2位)、フィンランド(3位)、ノルウェー(4位)、スイス(5位)
でした。

1996パシフィックリム選手権は1996年4月1日から6日までカナダ・バンクーバーでカナダ、アメリカ、中国、日本の4カ国が参加して開催されました。まず、1次リーグとして4カ国総当たりのリーグ戦が行われ、その後、リーグ戦1位対4位、2位対3位の準決勝。その勝者同士の決勝、敗者同士の3位決定戦が行われました。1次リーグと準決勝で対戦したカナダとアメリカは日本より力が数段上で大敗となりました。中国には1次リーグでは1-4、3位決定戦で1-5と2戦2敗。日本は4位に終わり1997世界女子選手権の出場権は獲得できませんでした。
板橋亨監督の参加報告(日本アイスホッケー年鑑 平成7年-8年 第15号より・要約)。
「中国とは2戦2敗に終わりましたが、アタッキングゾーンからの守りのシステムは成果が出ていました。今回の反省点として、『シュート力をつけること』『シングルハンドプレーをなくす』『ダンプパスとシュートリバウンドの会得』『コンテインとプレッシャーの使い分け』が挙げられます。これからも実践的経験を積ませ、一人一人の責任と自覚、そしてチームワークの大切さが必要です」。

日本の試合結果と大会成績、日本選手団は次の通りです。
1次リーグ:日本0-12カナダ、日本0-15アメリカ、日本1-4中国
準決勝:日本0-18カナダ
3位決定戦:日本1-5中国

団長:河渕務、監督:板橋亨、コーチ:リック・ポルトニック、八反田孝行、田中俊司、トレーナー:武田正、GK:小田由香(岩倉ペリグリン)、渡辺はる香(コクドレディース)、DF:佐藤理絵、畠中亜希子、佐久間千恵、帯川牧子、尾野聡美(以上岩倉ペリグリン)、里見結子(スポーツシステムファイターズ)、吉見菜保(コクドレディース)、FW:佐藤雅子、藤原志保、荒城三晴、五十嵐充子、岩瀬明子、久保英恵(以上岩倉ペリグリン)、大野ゆかり(コクドレディース)、須藤亜希、十川由希(以上釧路六花亭ベアーズ)、仲晶子(スポーツシステムファイターズ)、玉田陽子(六花亭マルセイズ)

<主な参考文献>
日本アイスホッケー年鑑 平成元年-2年 第9号、平成3年-4年 第11号、平成5年-6年 第13号、平成7年-8年 第15号、平成12年-13年 第20号(発行:財団法人 日本アイスホッケー連盟)
トリノ五輪女子最終予選レポート9・10(日本アイスホッケー連盟)
バンクーバー五輪女子最終予選報告書(日本アイスホッケー連盟)
平成28年度選手強化NF事業(女子五輪最終予選派遣)実施報告書(日本アイスホッケー連盟)
毎日新聞2013年2月11日付、2017年2月10日付(発行:毎日新聞社)
読売新聞2008年11月10日付夕刊、2013年2月11日付、2017年2月10日付、2017年2月12日付、2017年2月13日付夕刊、2017年2月14日付(発行:読売新聞社)
アイスホッケー・マガジン 2001年4&5月号、2005年3月号(発行:ベースボール・マガジン社)
B.B.MOOK 90「アイスホッケー・マガジン 2012-2013シーズン決算号」(発行:ベースボール・マガジン社)

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