スキルチャレンジ
スキルチャレンジは、アイスホッケー競技に必要なスキルについて、その習得度を客観的な数値として評価するためのテストです。このスキルチャレンジを全国各地で行うことにより、各選手のスキルレベルを相対的に比較することも可能となります。アイスホッケー競技が盛んな地域、盛んでない地域の区別なく、他の選手たちと比較して自分がどのようなレベルにあるのかを理解させることにより、各選手の自主的な目標設定を促すとともに、国内全体の競技力の向上にも繋がります。
第3回ユースオリンピック冬季大会(ローザンヌ2020)では、各国混成チームによる「アイスホッケー3on 3 」 が正式競技に採用され ましたが 、その エントリー選手は、世界共通の スキルチャレンジの成績により決定されました。今後の大会でも同様の手法が採られることが予想され、オリンピアンへの道を自ら切り拓くことのできるこのスキルチャレンジが、改めて注目されています。
スキルチャレンジ・クリニックの手引き(2020~21版) IIHF HP
ローザンヌYOG 予選
1
SKILLS TEST 1
Fastest Lap(最速ラップ)
- 図のとおり、氷上の8箇所にパイロンを配置する。
- 選手はベンチに座って待機する。
- 選手は、リンクの両側のスタートフィニッシュラインの後ろからスタートする。
- このテストはホイッスルで始まり、2人の選手が同時にスタートする。
- バックスケーティングで反時計回りにスタートする。
- 選手は、半周したところでピボットし、フォアスケーティングに切り替える。
- ピボットは、トランジションゾーン内(レッドラインを過ぎてからブルーラインに到達するまでの間)で実行しなければならない。
- このテストは、バックとフォアスケーティングで1周するまでの時間を100分の1秒単位で計測する。正式な大会では光センサーを使用して計測する。
- 選手の体のどこかの部分(スティックを除く)が開始したスタートフィニッシュラインを横切ったところで計測を終了する。
2
SKILLS TEST 2
Shooting Accuracy(シュートの正確性)
- 携帯用スプレー塗料を使用して、ゴールラインと平行に7m離れた場所にシュートラインを引く。
- シュートラインは6mの長さに引き、両端にパイロンを配置する。
- ゴールに「練習用シューター」をセットし、このうち股下を除く4隅をターゲットとする。(正式な大会では、ゴールの4隅に破壊可能なターゲットがセットされる。)
- このテストはホイッスルで始まり、30秒でタイムアウトとなる。
- 選手は、シュートラインより後方に位置しなければならない。
- 2人のパス出し担当者は、ゴールラインの後方のゴールポストから5mメートル離れた両側に位置する。
- 2人のパス出し担当者は、選手に対して、ゴール後方から交互にパックをパスする。
- 選手は、1つのパスを受け取るごとに、ターゲットに向かってシュートする。命中したら1点としてカウントする。
- 選手は、4つのターゲット全てに命中させなければならない。全てのターゲットに命中しない前に同じターゲットに命中してもそれは得点としてカウントしない。
- 30秒以内に4つのターゲット全てに命中した場合は、その後どのターゲットに命中しても1点としてカウントする。(正式な大会では、4つのターゲット全てに命中させるために要した時間で争う。)
3
SKILLS TEST 3
Skating Agility(スケーティングの敏捷性)
- 携帯用スプレー塗料を使用して、フェイスオフサークルの最もブルーラインに近いライン上から1.5m離れたところにスタートフィニッシュラインを引く。
- 図のとおり、それぞれのフェイスオフサークルの外側4箇所とスタートフィニッシュラインの両端にパイロンを配置する。
- 選手は、スタートフィニッシュラインの後方からスタートする。
- 選手は、サークル左上のパイロンに向かってフォアスケーティングで進む。
- 選手は、サークル左上のパイロンに到達したところでピポットし、外側に沿ってバックスケーティングで進む。
- 選手は、サークル右上のパイロンまでバックスケーティングで進み、右上のパイロンに到達したところで、バックからフォアにピポットする。
- 選手は、サークル左下のパイロンまで斜めにフォアスケーティングで進み、左下のパイロンに到達したところで、フォアからバックにピポットする。
- 選手は、左下のパイロンの外側に沿ってサークル右下のパイロンまでバックスケーティングで進む。
- 選手は、サークル右下のパイロンに到達したところで、バックからフォアにピポットし、ゴールラインまでフォアスケーティングで進む。
- 選手は、ゴールラインを超えたところでストップし、フォアスケーティングでフィニッシュラインまで戻る。
- このテストはホイッスルで始まり、スタートフィニッシュラインを横切るまでに要した時間を計測する。
4
SKILLS TEST 4
Fastest Shot(最速シュート)
- 携帯用スプレー塗料を使用して、ゴールラインと平行に9m離れた場所にシュートラインを引く。
- シュートラインは8mの長さに引き、両端にパイロンを配置する。
- 全ての選手のシュートのスピードを測定するために、ゴールの裏にスピードガンを設置する。(計測者がゴール裏に中腰になって、その都度スピードガンで計測する。
- シュートに用いるパックは、ブルーライン付近にまとめておく。
- パックは、シュートラインの後方に1個ずつ置き、選手はそのパックをゴールに向けて打つ。
- どの選手も2回のシュートを試みることができる。
- 選手は、シュートを打つ前にパックに向かってスケーティングで助走することができる。但し、スケーティングはブルーラインの内側から始めなければならない。
- シュートがネットに当たらない場合は、シュートをやり直すことができる。
- 2回のシュートのうち、速い方の値を記録として残す。
5
SKILLS TEST 5
Passing Precision(パスの緻密性)
- 図のとおり、左右のブルーライン内に5つのターゲット(ミニゴールを氷上に配置する。
- 1番目及び5番目のターゲットと選手との間の真ん中に障害物(ホッケースティックなどを配置する。
- ブルーラインの後方の中央付近にパックをまとめておく。
- このテストは、ホイッスルの合図で始まり、30秒間に成功させたパスの回数をカウントする。
- 選手は、ブルーラインの後方に立ち、1から5の順番によりターゲットに向けてパスを放つ。
- パックがターゲット(ミニゴール)に納まらなくても、その一部に当たった場合はパスが成功したものと見做す。
- 選手は、1番のターゲットから順にパスを成功させなければ、次のターゲットに移ることができない。
- 選手が30秒以内に5つ全てのターゲットへパスを成功させた場合は、再び一番からパスを放ち、時間内に成功したものは回数に加えることができる。
6
SKILLS TEST 6
Puck Control(パックコントロール)
- このテストは、図のように2列で行い、1列に14個のパイロンと6個の金属製円盤商品名:ハンドリングトレーナー)を配置する。
- 氷上の片側のゴールラインにスタートライン、反対側のゴールラインにフィニッシュラインを設け、それぞれに2つのパイロンを5m間隔で並べてその範囲を示す。
- このテストはホイッスルを合図に始められ、選手がスタートラインの後方から出発してフィニッシュラインを横切るまでに要する時間を計測する。
- 選手はパックをコントロールし、4つのパイロンをスラロームしながら前進する。
- ニュートラルゾーンでは、選手はパックをコントロールしながら、3組6つのパイロンを縫うように前進する。
- 選手は、最後のパイロンを通過した後、6つの金属製円盤が縦に並んでいる方へ向かい、円盤の間にパックを通しながら前進を続ける。
- 選手がフィニッシュラインを通過した時点で所要時間を計測し、このテストが終了する。